女として優秀であることの無能さ | 

作品概要

【墓石の下の英雄が、果たして夜の寝所でなお潔白を貫いたかどうかを知る術を、所詮売り物にすぎない歴史に求めることなど、許されない。

私が知りたいのは、夜毎彼等の下水を浴びせられた女達が、その頼りない紳士を奮い立たせるためについた嘘がどんなだったか。腐った臭いに耐え切れず、こっそりシーツに吐き出した唾液の染みがいくつだったか。

男達のロマンの存続において、知りすぎた女は邪魔者でしかない。】

孤独よりも隷属を選んだ、一人の女。

彼女はその目を塞ぎながら生きている。そのシナリオが軽薄な垢にまみれたのを知りながら、男の舞台に立ち続ける。

ふと彼女は、若くしてこの世を去った妹のことを思い出す。

「あの子が生きていたら私みたいになったのかしら。それとも、何も知らない女だけに与えられる“幸せ”にありつけたのかしら」

/1分9秒 /2013年制作

"incompetent" © Reco

この作品への投票理由やコメントなど

・作品概要がすでに一篇の詩として成立している。このテキストに強く心惹かれた。もしかしたら「女としての優秀さ」とは、自ら進んで客体になることなのかも知れない。男を好き/嫌いはどうでもよく、どちらが客体になるかというところが問題だと、今の若い女性たちはすでに気づいているのではないだろうか。プライベート写真を繋ぎ合せてストーリーを紡ぎ出すという、出品者の手法に新しさを感じる。写真を撮るということは無意識の選択をしていることだから。ほかの作品もぜひ出品していただきたい。(神田つばき)